植物の精油やハーブ製品(アロマ)を色々なかたちで用いて、健康の維持や生活の質を改善しようとする試みは古くから行われてきました。しかし、何故それが良いのか、その理由についてしっかりとした科学的証拠に裏付けられたものは多くはありません。 そこで、「抗菌アロマテラピー研究会」はアロマの持つ抗菌性や機能性についての様々な知見を集積し、研究から開発、応用、そしてアロマセラピーとして利用する方法に至るまでを考えて参ります。

この領域の存在感を高め公益に資することを目指して、情報の提供や講座の開講など、「抗菌アロマテラピー研究会」は 研究、開発に携わる方々を始め、アロマセラピーを実践、教育する方々から、広くアロマを愛し、楽しんでいる皆さまのお役に立つ活動を行ってまいります。

安部先生のメッセージ

共同開発したアロマキャンディ成分DOMACにウイルス感染予防効果が期待  No.43

アロマキャンディ成分DOMACが、ウイルス呼吸器感染を予防しうる可能性を見出しました。

私たちは、抗真菌作用が強くカンジダ性口内炎に有効なアロマ成分複合体DOMACを、2012年からUHA味覚糖社と共同で開発してきました。すでに、DOMACを含んだキャンディなどは開発済みでウェルシア薬局などで販売されています。このDOMAC入りキャンディは、男女51名の協力を得て実施したヒト試験で、風邪症状(のど不快感、のどの荒れ、声枯れ)に改善を示すことが報告されています。(松川泰治 他 臨床と薬理 46、1563-1569 2018) その研究で、28日間という短い観察期間ですが、対照のプラセボキャンディ群で8%の被検者にインフルエンザ症状が見られたのに対して、DOMAC入りキャンディを1日3粒舐めた群では一人も、インフルエンザ症状を示した人がいなかったことから、DOMACがインフルエンザ感染を予防する可能性を考えました。実際、DOMAC中のオリゴノール、シナモン、シトラールには抗ウイルス活性があることを示唆する論文があります。

これらに続いて、最近の私と羽山和美博士との研究で明らかになったのが、DOMACが複数のセリンプロテアーゼを抑制するということです。図参照 セリンプロテアーゼはインフルエンザウイルスや新型コロナウイルスが、喉や口の粘膜にある細胞に付着する過程に必要な酵素で、この酵素が働かないとウイルスが細胞に付着できず感染が成立できなくなる重要な酵素です。したがって、DOMAC入りキャンディを舐めると、ウイルスが粘膜に付着・感染できず、呼吸器感染予防する可能性が出てきました。

今後、実際にこれを舐めた時、ウイルス感染予防効果が得られるか調べないといけませんが、期待を持って研究を続けていきたいと考えています。研究成果の一部は、11月17日の講演記録(本HPのお知らせページ)に記載する予定です。ちなみに私は、何人かと話をした後など「ウイルスが喉に入ったかなー」と心配になった時には、このキャンディを舐めています。

  

2020年11月 安部茂

当面のスケジュール

新型コロナ感染の流行のため当研究会の広報活動は自粛しております。しかしながら、遠隔講座などについては、準備が出来ましたら順次再開していきたいと考えております。

特に、抗菌アロマテラピーの中でも、ウイルス感染予防に対するアロマテラピーの利用方法についての情報は発信していきたいと考えております。