コ-ヒ-好きに新朗報:眼圧が低い

  コ-ヒ-が好きな人は多いと思います。M君もコ-ヒ-の香りは大好きだったのですが、飲むと胃の調子が悪くなるためあまり飲みませんでした。実は、若い頃より数年ごとに胃潰瘍になっていたのですが、10年近く前にピロリ菌を除菌したところ、胃潰瘍にならなくなり、手放せなかった胃薬も必要なくなりました。そして驚いたことに、コ-ヒ-を飲んでも何ともないのです!今では美味しいコ-ヒ-と緑茶は毎日の習慣です。

  コーヒーは世界中で愛されている嗜好品ですが、実は日本人はコーヒーが大好きで、アメリカ、ブラジル、ドイツにつぎ世界第 4 位のコーヒー消費国です。以前は、コ-ヒ-はあまり健康によくないと思われていた時期もありましたが、近年の研究では、コーヒーは健康に良い影響を与える機能性があることが分かってきました。

  最近のレビュ-(参考文献1)では、コーヒーをよく飲んでいる人の方が、死亡率が低く、糖尿病、心血管疾患、肝硬変やいくつかの癌になりにくく、また認知機能を上昇させることなどが紹介されています。今回はさらに、習慣的にコ-ヒ-を摂取している人は、眼圧が低いという疫学研究をご紹介します(参考文献2、図参照)。

  現在まで、コーヒーと眼の関係についての研究はほとんどなく、コーヒーは眼に良いのかどうか不明でした。そこで、京都大学大学院医学研究科眼科学の研究グル-プは、緑内障発症、進行の危険因子である眼圧とコーヒーの関係に着目しました。緑内障は視野が欠けていく病気で、日本人では 40 歳以上の 20 人に 1 人が緑内障と言われています。進行すると視力が低下するため、現在は日本人の視覚障害の原因第 1 位となっています。今まで、コーヒー摂取と眼圧との関係を、大規模なコホートで調べた研究はほとんどありませんでした。

  研究グル-プは、京都大学附属ゲノム医学センターが滋賀県長浜市と共同で実施している「ながはま 0 次予防コホート事業」(長浜スタディ)の 9850 人のデータを用いて、習慣的なコーヒー摂取量と眼圧との関係を調べました。その結果、緑内障がない人は、眼圧に関わる様々な因子 (年齢、性別、角膜厚など)で補正しても、習慣的にコーヒーをよく飲む人ほど眼圧が低いことが分かりました。1 日 3 杯以上飲む人は、 1 日 1 杯未満の人に比べ眼圧が約0.4mmHg 低く、これは参加者全体の平均眼圧14.7mmHgの約 3%分に相当します。なお、緑内障と指摘されたことがある人とない人とで比べた場合は、コーヒー摂取頻度に明らかな差は見られませんでした。

  今回の研究結果は、コーヒーをよく飲む人ほど眼圧が低い特徴があることを示していますが、コーヒーを飲めば眼圧が下がるかどうかは分かりません。因果関係のない単なる平行現象かも知れません。また緑内障の治療や予防の目的で、コーヒーを飲むのを現時点ではお勧めできません。コ-ヒ-飲用で直接眼圧を下げることができるのか、コ-ヒ-飲用で緑内障発症の予防効果があるのか、今後の検証が待たれます。(by Mashi)

・雀子がざくざく浴びる甘茶哉(小林一茶)

コ-ヒ-がなかった時代。甘茶を雀の子がたっぷりと浴びている。

参考文献:1) Rob M. van Dam et al., Coffee, Caffeine, and Health. N Engl J Med (2020); 383:369-378 DOI: 10.1056/NEJMra1816604 2) Eri Nakano et al., Relationship between intraocular pressure and coffee consumption in a Japanese population without glaucoma: The Nagahama study. Ophthalmology Glaucoma (2020) https://doi.org/10.1016/j.ogla.2020.09.019

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