新型コロナワクチンの副反応は、若年者と女性で高い

  新型コロナワクチン(ファイザー社製)の接種は、2021年2月より医療従事者に、4月より高齢者向けにスタ-トしました。医療従事者で2回の接種を受けた人は、1万9,465人です。被接種者は、20~50代が91%、60歳以上が9%、男性33.8%、女性66.2%、内訳は医師17%、看護師47%、その他36%でした。厚生労働省は、この先行的に接種を受けた約2万人の医療従事者を対象とした安全性に関する「ワクチン接種者を対象とする前向き観察研究」を行い、4月9日に中間報告(4月13日修正版)を公表しました。副反応の疑いは、2万人調査すると95%の可能性で捕捉できるとされています。

  ファイザー社の新型コロナワクチン(2回接種)の主な副反応は、頭痛、関節や筋肉の痛み、注射した部分の痛み、疲労、寒気、発熱などがあり、まれに起こる重大な副反応としてショックやアナフィラキシーがあります。

  最終接種4週後までの安全性に関する調査の結果、1)発熱、頭痛、倦怠感などの全身反応は、1回目の接種よりも、2回目の接種後に頻度が大幅に高くなることが示されました。2)副反応には男女差があり、女性の方が男性よりも副反応が強く出ました。特に頭痛は、女性の62%が訴えたのに対し、男性は37%と差が大きかったそうです。37.5度以上の発熱も女性42%、男性30%でした。3)65歳以上の高齢者では、副反応の発生率が大幅に低いことも分かりました。

  1回目の接種後は、発熱(3.3%)、頭痛(21.2%)、全身倦怠感(23.2%)でしたが、2回目の接種後には、発熱(38.1%)、頭痛(53.6%)、全身倦怠感(69.3%)が認められました。このように、発熱、頭痛、倦怠感などの全身反応は、1回目接種よりも、2回目の接種で頻度が高くなる傾向がみられました。発熱する場合は接種翌日が多く、接種3日目には解熱するそうです。

  インフルエンザワクチン接種時の調査と比較すると、ファイザー社の新型コロナワクチンは接種部位の疼痛の頻度が大変高い特徴があります。接種部位の疼痛は90%を超える被接種者が自覚し(1回目接種後92.3%、2回目接種後91.1%)、接種翌日がもっとも高く、接種3日後には軽快するそうです。

  2回目の接種後に38度以上の高熱が出たのは、20歳代では30%、30歳代では25%、全体では21%でしたが、高齢者では4%と大幅に低いそうです。だるさは全体の69%にみられましたが、高齢者では38%でした。また頭痛は全体では54%でしたが、高齢者では20%と低かったそうです。一般的に、免疫能は高齢者より若年者の方が高く、男性より女性の方が高いことが知られています。これが若年者や女性の副反応が高い原因の一つかもしれません。

  アナフィラキシー症状は,4月4日までに接種した約109万7,000回のうち350件が報告され、国際的な基準に照らすと79件が該当しました。100万回当たり72件の頻度ですが、ほぼ全員が軽快、回復しているそうです。接種30分以内の副反応疑いとして、1回目、2回目接種合わせて、顔面神経麻痺を含む末梢神経障害など22例が報告されています。(by Mashi)

参考文献:第55回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会&医薬品等安全対策部会安全対策調査会 2021年4月9日(4月13日修正版)

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