新型コロナはポビドンヨ-ド液の15秒処理で死滅

  抗菌アロマテラピ-研究会の安部茂代表は、新型コロナウイルスの感染予防に鼻洗浄(鼻うがい)を以前から推奨しています。今回は、同じく鼻洗浄を推奨する耳鼻咽喉科医達の、ポビドンヨ-ド液に関する基礎デ-タをご紹介します。研究では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を感染させた培地で、低濃度である0.5%ポビドンヨ-ド液とたった15秒間接触させただけで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の完全な不活性化が見られたという報告です。

  耳鼻咽喉科での感染リスクの低減には、主に物理的な遮蔽(フェイスシ-ルドやマスクなど)が用いられていますが、患者と医療従事者の鼻腔内の消毒、洗浄によるウイルス除去は、感染リスク低減に役立つと言われています。そこで、米国Connecticut大学医学部の耳鼻咽喉科医らは、新型コロナの感染予防策としてポビドンヨード消毒液で鼻腔内洗浄を行うことを想定し、試験管内(in vitro)で消毒液の抗ウイルス実験を行いました。

  研究者達はin vitroで、様々な濃度のポビドンヨ-ド液を含む鼻腔内消毒液を用い、新型コロナウイルスの不活化効果と必要な洗浄時間を検討し、耳鼻咽喉科の外来や手術室における感染予防に役立つ情報を提供しようと考えました。最終的にポビドンヨ-ドの濃度が0.5%、1.25%、2.5%になるよう消毒液を調整し、ウイルスとの混合後は、平均室温22度で15秒または30秒反応させました。抗ウイルス効果が期待できる陽性コントロールとしては70%エタノールを、陰性コントロールとして水を用いました。

  その結果、濃度0.5%、1.25%、2.5%のポビドンヨ-ド消毒薬は、15秒以内に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を完全に不活性化し、残存ウイルス力価はいずれも検出限界未満でした。陽性コントロールの70%エタノールは、15秒間では新型コロナウイルスを完全に不活化できませんでしたが、作用時間を30秒にすると、エタノ-ルでも残存ウイルス力価は検出限界未満になり、完全に不活性化されました。

  今回の実験で、0.5%以上の濃度のポビドンヨ-ド液は、15秒という短時間のうちに新型コロナウイルスを不活性化出来ることが分かりました。新型コロナウイルスが最も感染しやすいのは鼻粘膜の線毛細胞であり、ウイルスはそこから口咽頭、肺へと侵入していくと報告されているため、鼻洗浄によりウイルス量を減らすことによって重症化を防ぐ可能性があると研究者達は述べています。

  しかしながら、今回の結果はあくまでも試験管内の抗ウイルスデ-タであり、実際の臨床での安全性や効果が示されたわけではありません。ポビドンヨ-ド液での鼻洗浄は慎重に、今後の臨床での結果が出てから試みる方が良いと思います。(by Mashi)

参考文献:1) 安部茂、新型コロナウイルスの感染症の制御には、鼻腔・咽頭の粘膜感染を防ぐのが最重要 Aroma Research 21, 73-79 (2020),  2) Samantha Frank, et al., In Vitro Efficacy of a Povidone-Iodine Nasal Antiseptic for Rapid Inactivation of SARS-CoV-2. JAMA Otolaryngol Head Neck Surg (2020), doi:10.1001/jamaoto.2020.3053

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