世界保健機関(WHO)は、2020年10月末に新型コロナウイルスは「相当数の人に、深刻な後遺症を残す」、「懸念が大きいのは、症状の幅広さや子供を含めて年齢や性別を問わず、後遺症が長期にわたり出ていることだ」と警告しています。時間経過で症状は変動し、体内のあらゆる臓器、器官に影響を及ぼす可能性があるそうです。具体的には、疲労感、せき、息切れ、肺や心臓などの臓器の炎症と損傷、下痢、嗅覚障害、脱毛、神経系への影響など多岐にわたります。後遺症は、重症者だけではなく軽症者にも、また入院患者だけではなく入院しなかった人にもあらわれるそうです。
最近、国立国際医療研究センターが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院し、回復した人を追跡調査したところ、発症から120日超の時点でも依然続く呼吸苦や倦怠感、咳などを訴えたり、数ヵ月後になって脱毛を経験したりした人がいることを報告しています。この報告では、国立国際医療研究センターにCOVID-19で入院し、2020年2~6月に退院した78名を追跡調査対象にしました。平均年齢は48.1±18.5歳、BMIは23.7±4.0、女性が33.3%、入院時には74.6%が肺炎症状を示していました。
具体的な後遺症は、発症から60日時点で、咳(7.9%)、倦怠感(15.9%)、呼吸苦(17.5%)、嗅覚異常(19.4%)などです。発症から120日時点では、咳(6.3%)、倦怠感(9.5%)、呼吸苦(11.1%)、嗅覚異常(9.7%)などの症状を訴えていたそうです。発症から約4か月たっても、通常の日常生活に戻れない人がいるということになります。脱毛は、24.1%の人に観察され(男女ほぼ同数)、COVID-19発症から脱毛症が出現するまでの期間は58.6±37.2日でした。
海外でもこの新型コロナの後遺症についての研究が進められています。たとえば、イギリスの国立衛生研究所では、新型コロナによる後遺症を「LONG COVID」と呼び、病態の解明に取り組んでいます。そして、肺、心臓への恒久的障害、ウイルス後疲労症候群、持続するCOVID-19などの症状に注目しています。
イタリアからの報告では、新型コロナから回復した後(発症から平均2ヶ月後)も87.4%の患者が何らかの症状を訴えており、倦怠感や呼吸苦、関節痛、胸痛、咳、嗅覚障害、目や口の乾燥、鼻炎、結膜充血、味覚障害、頭痛、痰、食欲不振、喉の痛み、めまい、筋肉痛、下痢などきわめて多症状の後遺症があるそうです。
ドイツフランクフルト大学病院では、COVID-19から回復した患者に心筋障害が存在するかどうかを検討する前向き観察コホート研究を実施したところ、診断日から中央値71日の時点で行った心臓MRI検査で78%の患者に心筋異常が見られ、60%は心筋の炎症が持続していたそうです。特に心疾患がある患者がCOVID-19を発症すると、心不全が悪化し、心血管系に後遺症が残るそうです。
「後遺症は怖い」とやみくもに恐れる必要はないと思いますが、後遺症の実態を考えれば「若いから感染しても大丈夫」とは言えないと思います。(by Mashi)
参考文献:1) Yusuke Miyazato et al., Prolonged and late-onset symptoms of coronavirus disease 2019. Open Forum Infectious Diseases, ofaa507 (2020) , https://doi.org/10.1093/ofid/ofaa507 2) Valentina O. Puntmann et al., Outcomes of Cardiovascular Magnetic Resonance Imaging in Patients Recently Recovered From Coronavirus Disease 2019 (COVID-19). JAMA Cardiol. Published online (2020) doi:10.1001/jamacardio.2020.3557
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