マスクの抗ウイルス効果はどのくらい?

    もともと呼吸器系の弱いM君は、冬場には抗感染と保湿のため、春には花粉よけにマスクを以前より愛用していた。マスクは低い鼻を隠すのにも有効であった。最近では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延もありマスクは欠かせなくなっています。でもマスクは本当にウイルスの吸入を阻止出来るのでしょうか。科学的な検証はあるのでしょうか?

  2020年の初め頃に世界保健機関(WHO)は、「マスクにはウイルスの予防効果は無い」、「マスクは感染者がつけるもの」と言い張っていました。でもこれは変ですよね。同じ材質のマスクが、ウイルスの飛び出しをおさえて侵入は防げないという矛盾した論理です。日本でも当初多くの「識者」が「ウイルスはマスクの編み目より小さいので通過してしまい意味が無い」などと主張していました。これも変です。ウイルスは水分を含む大きな飛沫となっているし、何層にもなったマスクの線維に引っかかります。すかすかのかやぶき屋根が小さな水滴を防いでいる状態をイメ-ジすると分かりやすいと思います。

  最近では、世界保健機関(WHO)もマスクによる予防効果を認めており、着用を義務化している国もありますが、実際のところマスクの抗ウイルス効果はどのくらいあるのでしょうか?布マスクでも有効なのでしょうか? 最近、東京大学医科学研究所感染・免疫部門ウイルス感染分野を中心とする研究グループは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の空気伝播におけるマスクの防御効果と、マスクの適切な使用法の重要性を明らかにした論文を発表しています。

  研究では、バイオセーフティーレベル施設内に感染性の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を噴霧できる装置を開発し、その中に人工呼吸器を繋いだマネキンを設置して、マネキンに装着したマスクを通過するウイルス量を調べました。その結果、マスクを装着することで新型コロナウイルスの空間中への拡散と、吸い込みの両方を抑える効果があることが分かりました。

  結果1)ソ-シャルデイスタンスについて:  吐き出す側のマネキンと吸い込む側のマネキンの両者の距離とウイルスの吸い込み量との関係についてマスク無しで調べたところ、両者の距離が離れるにしたがって、新型コロナウイルスの吸い込み量が減少しました。50cm離れると吸い込みウイルス量は約50%に低下、1mで約25%に低下します。2m離れればおそらく10%程度になると思われます。密を避け、ソ-シャルデイスタンスをとるのはやはり重要です。

  結果2)マスクによるウイルスの吸い込み防止効果: 50cm離れたウイルスを吸い込む側のマネキンに各種マスクを装着させて、ウイルスの吸い込み量を調べました。その結果、布マスクを着用することで、ウイルスの吸い込み量がマスクなしと比べて20~40%低下させることが出来ました。不織布マスクでは約50%、N95マスクでは60~90%抑えられることがわかりました。

  結果3)マスク装着によるウイルスの拡散防止効果: ウイルスを吐き出す側のマネキンにマスクを装着させ、ウイルスの吸い込み量への影響を50cmの距離で検討しました。布マスクや不織布では約80%、N95マスクではほとんど完全に(95~100%)拡散阻止できました。

  このようにマスクはウイルスの吸い込み量を抑える働きと、対面する人への暴露量を減らす効果があることを示しています。感染症は吸い込む病原体量と免疫機能のバランスですので、吸い込むウイルス量が半減するだけでも大きな意味があると思われます。布マスクも結構有効です。かやぶき屋根効果ですね。(by Mashi)

参考文献:Hiroshi Ueki, et al., Effectiveness of face masks in preventing airborne transmission of SARS-CoV-2. mSphere (2020) DOI:10.1128/mSphere.00637-20

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