睡眠は長くても短くても認知機能の低下と関連

  以前にもご紹介しましたが、睡眠時間は長くても短くても死亡率が高まるという疫学調査結果(コホ-ト研究)があります。また、高齢者の睡眠と認知機能の間に関係があることはこれまでも推測されていましたが、分析対象にした人数が少なかったりして、睡眠時間と認知機能低下の関連は結論が得られていませんでした。

  今回は、睡眠時間と認知機能の関係を調べるために、英国と中国の高齢者を調べた2つのコホート研究のデータをプール解析し、睡眠時間が7時間の人に比べ、4時間以下または10時間以上の人は認知機能低下リスクが高かったという報告をご紹介します。

  対象としたのは、45歳以上の英国人および中国人の2万8756名です。2つのコホ-ト研究のうち、片方は平均年齢64.6歳、女性55.9%、追跡期間中央値は8年です。もう一つは、平均年齢57.8歳、女性49.8%、追跡期間中央値は4年でした。主要評価項目として、記憶、実行機能、見当識からなる全般認知機能を調べました。具体的には、即時再生および遅延再生テスト、動物名想起テスト、シリアル7課題(100から7を引いていく計算)、五角形模写課題、および見当識を評価する質問(今日が何曜日か、何日か、今は何月か、何年か)などを行って評価しました。

  その結果、睡眠時間が7時間だった集団を基準にすると、全般認知機能は、睡眠時間が4時間以下と、8時間、9時間、10時間以上の人々で有意に低い値でした。記憶、見当識、実行機能のそれぞれについても、ほぼ同様の結果でした。交絡因子(性別、年齢、BMI、血圧、学歴、喫煙習慣、飲酒習慣、糖尿病などの疾病)で調整しても、睡眠時間と認知機能低下程度の間にU字型の関係が存在しました。いずれのスコアも、最も低かったのは、一晩に10時間以上眠る人々だったそうです。

  このように、コホ-ト研究のプール解析の結果から、睡眠時間が4時間以下、または10時間以上の人々では、睡眠時間7時間の人々に比べ認知機能が低下しており、その後の追跡期間中の認知機能の低下速度も、7時間睡眠群に比べ有意に速いことが示されました。睡眠時間の長短が認知症の発症を引き起こすのか、認知症の進展が睡眠異常を引き起こすのか、それとも単なる平行現象なのか現時点ではよく分かりません。しかし、睡眠時間が短すぎる人や長すぎる人は、認知機能をモニターする必要、価値があると思われます。(by Mashi)

参考文献:Yanjun Ma et al., Association Between Sleep Duration and Cognitive Decline. JAMA Netw Open. (2020) Sep; 3(9): e2013573. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.13573

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